リビドー

フィクションの中で窒息死するまでセックスしたい

クウキセイジョウキ

深夜だった気がするし昼間だったような気もする。

以前勤めていた会社の先輩ふたりと楽しくお喋りしながら、私は帰路に着いていた。

私たちが並んで歩く後ろには前髪が長めのマッシュヘアーをした細身の男性がひとり、距離感を保ちながら歩いている。

チラチラとその男性の顔を見ていた私は、大好きな高良健吾に似ている彼を気にしていた。

分岐点で先輩たちに別れを告げ離れていくと、なぜか彼と先輩たちが合流し、先輩のひとりが大きな声で私に問いかけた。

「もし高良健吾がここにいたらどうする?」

私はその言葉で全てを悟った。

興奮冷めやらぬ中、自然と口元が緩んだ私は全力で叫んだ。

「世界で一番大好きですって伝えます!」

先輩たちは笑い声をあげ、そこにいた彼は笑顔で「ありがとう!」と言った。

私はずっと大好きだった高良健吾に会えたのだ。

そして彼に向って世界で一番大好きと叫んだのだ。

言葉にならない多幸感がつま先から頭のてっぺんまで包み込み、涙が出そうだった。

 

気が付くともう高良健吾とLINEのやり取りをしていて、さらに気が付くと私の家に高良健吾がいた。

私たちは恋人のようで、永遠に私の視界から高良健吾が消えないことを願った。

 

 

高校生の頃に『蛇にピアス』のアマ役だった高良健吾に惚れた。

こんなにど真ん中ストライクな顔が存在するなんて考えてもみなかった私は、脳天を一撃されたかのような衝撃を受けた。

その後も高良健吾の出演作品を見ては、会えないことの悲しさにただただ打ちひしがれた。

だから今日見たこの夢の話を絶対に忘れまいとここに記録する。

いつか高良健吾とセックスする夢を見ることを夢見て。

高良健吾は衝撃を受けたあの日から10年以上経つ今でも私の「推し」なのだ。

永遠に私の「推し」なのだ。