リビドー

フィクションの中で窒息死するまでセックスしたい

テクノブレイク

平日の23:30に「今からタクシーで来てよ」と言う彼は、私を性欲の吐け口として彼女と幸せな日々を送っている。
それでいい。
私の恋心なんて誰にも気付かれずにひっそり死ねばいい。

本当は急いで化粧をして、急いでムダ毛を処理して、急いでセクシーな下着を身につけて、急いで彼の元へ行きたかった。
彼が飽きるまで何度もセックスしたかった。何度も彼の精子を私の中に出して欲しかった。
精子にまみれて窒息死できたら幸せになれる気がした。

仕事の忙しさを言い訳に彼の誘いを断ったあと泣いた。電話を切る彼が冷たかった。

感情の赴くままに生きられたら、明日のことなんて考えずに済んだのに。
成長と共に理性的な生き物になり、つまらない責任感で自分を縛って苦しめている。

大人になんてなりたくなかった。

会いたかったと言ってしつこいくらいにハグをして、キスをして、セックスをして、朝になったら捨てられて泣いて、それでもまた彼を求めたかった。
偽りの愛でも構わないから、今私には愛が必要だった。

誰のためでもない化粧をして、乗りたくもない満員電車に乗って、やりがいのない仕事を熟す私は、いつになったら自分のために生きられるのだろうか。